染職人 髙橋宗喜代
表からだけでなく、裏側からも図柄や模様、マークなどがはっきりと見えるような染め方でつくられたものを 「印染め(しるしぞめ)製品」 といいます。
その製品の種類は、多々様々あります。
社寺仏閣の幟(のぼり)や幕、お店の暖簾(のれん)やサークルの横断幕、社旗、校旗、クラブ旗、スポーツ応援旗などなど、
また、歌舞伎の楽屋暖簾(のれん)や、婚礼家具にかける油単(ゆたん)などもあり、小さいものでは、風呂敷、袱紗(ふくさ)などもあります。
若い頃には他のもっと派手な仕事に憧れたりしたこともありました。なんせ根気のいる仕事です。一日一日、一枚一枚が経験と感の積み重ね。手を抜けば、すぐ仕事に表れます。
街を歩いていて、自分が作ったのれんや旗に思いがけず出会うと、やっぱり嬉しいんです。思わずニコッとしてしまいます。いまはこれが天職やと思てます。
店先にある大きな一枚板でできたL字型のカウンター。この机を挟んで、何人ものお客様とお話させていただいてきました。
何万回この机を拭いたことか。
もし店を閉めることになったとしても、これだけは一緒に持って行きたい、そう思てます。