新庄家旗店では、「印染め製品」のデザインの打ち合わせから、下絵、染色、縫製までのすべてを通して、店主、高橋宗喜代が手がけております。
まず始めに、お客様とデザインの打ち合わせをいたします。 イメージをお聞きしたり、お客様が描かれた出来上がり図をもとに、お客様とご相談しながら色や柄などを決めていきます。
旗やのれんに家紋をデザインする場合には、家紋帳を参考にして、複雑な家紋や毛筆の文字などは下絵師さんに頼んだりしながら、紙で下絵を作ります。
紙の下絵ができたら、水で洗い流せる特別の染料を使って、真っ白な布に描き写します。
細かい模様や、毛筆のタッチを表現する時など、感触をそこなわないよう注意して写していきます。
下絵の柄の輪郭を、糊でなぞります。この糊は、もち米の粉、石灰、塩に亜鉛末を混ぜたもので、細い紙筒に入れて正確になぞっていきます。
輪郭をなぞった後、輪郭の中にも同じ糊をたっぷりとのせます。このとき、糊の表面に気泡ができないように、まだ塗ったばかりの糊の上をブラシでさっと払いながら、糊が広がってしまわないよう、すばやくのせていきます。
糊をつけ終わったら、上から細かいおがくずの粉をつけ、霧吹きで水をかけて糊を十分に布にしみこませます。染色のときに染料が布の裏を伝って惨まないように、裏側からも輪郭を糊で固めておきます。糊をつけた部分は、染色のときに染料がしみこまないで、白く残ります。
表裏両側からの糊止めが終わると、乾燥した空気の中で一昼夜ほど乾かして糊が固まるのを待ちます。
糊が固まったら、いよいよ染色です。
幅10cmほどの鹿の毛の刷毛を使って、糊のついていない部分に染料を塗っていきます。
これが乾いたら、次に色を定着させるためにアルカリ性の薬品を塗ります。
最後に、大きな水槽で水洗します。
この過程で最初に染めたときと色が変わってしまうので、それも計算に入れて初めの色を作ることが難しいところです。
思った通りの色を出すにはとても神経を使います。もちろん小さい布片で試してみますが、やっぱり経験と勘が必要です。
仕事では絶対に手を抜けません。
どこかにきっと出てくるものですから。
染色が終わると縫製をして、最後の仕上げです。